その「キーン!」は歯からのSOS。知覚過敏の原因とセルフケア、歯科での治療法まで徹底解説

   

こんにちは、武蔵小杉駅徒歩3分の歯医者、武蔵小杉ネゴ歯科矯正歯科です。

アイスクリームを食べた瞬間、奥歯に走る鋭い痛み。
冷たい水を口に含んだだけで、思わず顔をしかめてしまう。
歯磨きのたびに、特定の歯が「キーン」としみて、丁寧に磨くのが怖い…。

こうした経験は、多くの方が一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
歯がしみる症状は非常に不快で、食事や日常の歯磨きさえも憂鬱にさせてしまいます。

その不快な痛みの正体は、もしかしたら「象牙質知覚過敏症(ぞうげしつちかくかびんしょう)」、いわゆる知覚過敏かもしれません。
しかし、「しみる=知覚過敏」と自己判断してしまうのは少し危険です。
なぜなら、歯がしみる原因は一つではなく、中には虫歯や歯周病といった、放置すると悪化してしまう病気が隠れている可能性もあるからです。

この記事では、歯がしみるという症状にお悩みの方のために、歯科医師の視点から、その原因、ご自身でできる対策、そして歯科医院での専門的な治療法まで、詳しく分かりやすく解説していきます。
この記事を最後までお読みいただくことで、ご自身の症状への理解が深まり、適切な対処法が見つかるはずです。歯からの小さなSOSサインを見逃さず、健やかで快適な毎日を取り戻しましょう。

 

その「しみる」、本当に知覚過敏?考えられる原因とは

「歯がしみる」と感じたとき、多くの方は知覚過敏を疑いますが、原因は他にも考えられます。
まずは、代表的な原因をいくつか見ていきましょう。ご自身の症状と照らし合わせてみてください。

虫歯(カリエス)
虫歯がエナメル質を溶かし、その内側にある象牙質まで達すると、外部からの刺激が神経に伝わりやすくなり、しみる症状が出ます。
特に、冷たいものや甘いものがしみるのが特徴です。
知覚過敏の痛みは一過性(数秒で消える)であることが多いのに対し、虫歯の痛みは比較的長く続く(10秒以上)ことがあります。

歯周病
歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨が溶け、歯ぐきが下がってきます(歯肉退縮)。
すると、本来は歯ぐきに覆われているはずの歯の根っこ(歯根)が露出してしまいます。
歯根の表面には硬いエナメル質がなく、象牙質が剥き出しの状態に近いため、非常にしみやすくなります。

歯の亀裂・破折(クラック・フラクチャー)
目には見えないほどの小さなヒビが歯に入っている場合、そこから刺激が神経に伝わり、しみることがあります。
特に、「噛んだ時にだけ、特定の場所がピリッと痛む」という場合は、歯の亀裂が疑われます。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方に多く見られます。

治療後の一次的な症状
虫歯治療で金属の詰め物を入れた後、金属が熱を伝えやすいために一時的にしみたり、歯を削った刺激で神経が過敏になったりすることがあります。
また、ホワイトニングの薬剤の影響で、施術後数日間、知覚過敏のような症状が出ることがありますが、これらは多くの場合、時間とともに落ち着きます。

 

こんな「しみる」は要注意!すぐに歯科医院へ

以下の症状がある場合、歯の神経が炎症を起こしている「歯髄炎(しずいえん)」など、緊急性の高い状態が考えられます。
セルフケアで様子を見ずに、できるだけ早く歯科医院を受診してください。

何もしなくてもズキズキと痛む

温かいものがしみる(または温かいものを口に含むと痛みが和らぐ)

痛みが10秒以上、あるいは数分間にわたって続く

夜、横になると痛みが強くなる

 

知覚過敏のメカニズム徹底解説~なぜ「キーン」と痛むのか?~

では、今回の本題である「知覚過敏」は、一体どのようなメカニズムで起こるのでしょうか。
それを理解するために、まずは歯の構造を簡単に見てみましょう。

歯は、外側から硬い「エナメル質」、その内側に「象牙質(ぞうげしつ)」、そして中心部に神経や血管が集まった「歯髄(しずい)」という、大きく3つの層でできています。
通常、一番外側にあるエナメル質が、鎧のように外部の刺激から歯の内部を守ってくれています。
しかし、何らかの原因でこのエナメル質が削れたり、歯ぐきが下がって本来覆われているはずの象牙質が露出したりすると、問題が起こります。

象牙質には、「象牙細管(ぞうげさいかん)」と呼ばれる、歯の中心にある神経(歯髄)に向かって伸びる無数の細い管が通っています。
この管の中は、組織液という液体で満たされています。
知覚過敏の痛みが伝わるプロセスは、現在「動水力学説(どうすいりきがくせつ)」という理論で説明されています。

象牙質の露出
歯磨きや歯周病などで、歯の表面の象牙質が露出します。

外部からの刺激
冷たいものや歯ブラシの毛先などが、露出した象牙質に触れます。

象牙細管内の液体が動く
刺激によって、象牙細管の中の液体が急激に動きます。

神経への伝達
この液体の動きが、管の先にある神経を直接刺激します。

痛みとして認識
キーン!」というシャープで一過性の痛みとして、脳が認識します。



つまり、知覚過敏の痛みは、露出した象牙細管を通じて、外部からの刺激が神経にダイレクトに伝わることで発生するのです。

 

あなたの習慣が原因かも?知覚過敏を引き起こす主な要因

なぜ、歯を守るべき象牙質が露出してしまうのでしょうか。
その原因は、日々の何気ない生活習慣の中に隠れていることがほとんどです。
ご自身に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。

 

過度なブラッシング(間違った歯磨き)

「しっかり磨かなければ」という思いから、毎日力任せにゴシゴシと歯を磨いていませんか?
強い力でのブラッシングは、歯の表面のエナメル質を摩耗させるだけでなく、歯ぐきを傷つけて退縮させてしまう最大の原因です。
硬すぎる歯ブラシや、研磨剤が多く含まれる歯磨き粉の使用も、歯を削る原因となるため注意が必要です。

 

歯周病による歯肉退縮

歯周病は、日本人の成人の約8割がかかっている、あるいはその予備軍と言われる国民病です。
歯周病菌によって歯ぐきに炎症が起き、歯を支える骨が溶かされると、結果として歯ぐきがどんどん下がっていきます。
これにより、刺激に弱い歯の根(歯根)が露出し、広範囲にわたって知覚過敏の症状を引き起こします。

 

歯ぎしり・食いしばり

武蔵小杉ネゴ歯科矯正歯科でインプラントがぐらついている場合の対処法と原因をを解説

睡眠中や日中の集中している時に、無意識に歯ぎしりや食いしばりをしていませんか?
歯ぎしりをしている時、歯には体重の数倍もの力がかかると言われています。
この過度な力が歯に加わり続けると、歯の表面に微細なヒビが入ったり、特に力の集中しやすい歯の根元部分がくさび状にえぐれてしまったり(くさび状欠損)することがあります。
これも象牙質が露出する大きな原因です。

 

酸蝕症(さんしょくしょう)

虫歯菌が出す酸ではなく、私たちが日常的に口にする飲食物に含まれる「酸」によって、歯のエナメル質が溶かされてしまう状態を「酸蝕症」と呼びます。
エナメル質が溶けて薄くなることで、その下の象牙質が露出しやすくなります。

酸の強い飲食物の例
炭酸飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、柑橘類(レモン、オレンジなど)、お酢やドレッシング、ワインなど
これらの飲食物を頻繁に、あるいは時間をかけてだらだらと摂取する習慣は、お口の中が酸性の状態に長く晒されるため、特にリスクが高まります。

 

ホワイトニングの影響

歯科医院や自宅で行うホワイトニングは、薬剤を使って歯を白くする方法です。
この薬剤の影響で、歯の表面を保護している「ペリクル」という膜が一時的に剥がれ、象牙質への刺激が伝わりやすくなることがあります。
ただし、これは一過性のものであることがほとんどで、通常は24~48時間程度で症状は落ち着きます。

 

加齢による自然な歯肉退縮

病的な原因だけでなく、加齢によって生理的に歯ぐきが少しずつ下がってくることもあります。これも、知覚過敏の一因となり得ます。

 

今日からできる!知覚過敏を和らげる効果的なセルフケア方法

知覚過敏の症状は、原因となる習慣を見直すことで、ご自身である程度コントロールできる場合があります。
ここでは、今日からすぐに始められる効果的なセルフケア方法をご紹介します。

 

歯磨き方法を根本から見直す

知覚過敏対策の基本にして最も重要なのが、毎日の歯磨き方法の改善です。

歯ブラシの選び方
毛の硬さは「ふつう」または「やわらかめ」を選びましょう。
「かため」は歯や歯ぐきを傷つけるリスクが高いため、避けるのが賢明です。

力の入れ方
歯ブラシを鉛筆のように軽く持ち、歯の表面に毛先が軽く触れる程度の力(150g~200g程度)で磨きましょう。
歯ブラシの毛先が開かない程度の力が目安です。

動かし方
ゴシゴシと大きく動かすのではなく、5mm~10mm程度の幅で小刻みに優しく振動させるように磨くのがポイントです。

知覚過敏用の歯磨き粉を試す
市販されている知覚過敏ケアを謳った歯磨き粉には、症状を緩和する有効成分が含まれています。
主に2つのタイプがあります。

硝酸カリウム
歯の神経の周りにイオンのバリアを張り、刺激の伝達をブロックしてくれる成分です。

乳酸アルミニウム
刺激が伝わる通り道である象牙細管そのものを直接封鎖し、刺激の侵入を防いでくれる成分です。

これらの歯磨き粉は、すぐに効果が出るものではなく、継続して使用することで徐々に効果を発揮します。最低でも2週間~1ヶ月は使い続けてみましょう。

 

食生活の改善(酸蝕症対策)

酸の強い飲食物を好む方は、摂り方に工夫が必要です。

炭酸飲料やスポーツドリンクは、時間をかけてだらだら飲むのをやめ、短時間で飲み切る。

酸の強いものを摂取した後は、水やお茶で口をよくすすぐ。

 

セルフケアで改善しない…歯科医院での専門的な治療法

セルフケアを続けても症状が改善しない場合や、痛みが強く日常生活に支障をきたす場合は、我慢せずに歯科医院に相談しましょう。 歯科医院では、症状の程度や原因に合わせて、以下のような専門的な治療を行います。


薬剤の塗布
最も手軽で一般的な治療法です。
露出してしまった象牙質の表面に、象牙細管を封鎖する効果のある薬剤を塗布します。
痛みはなく、数分で終わる簡単な処置です。
効果には個人差があり、何度か繰り返して塗布することもあります。

コーティング治療
歯の根元がえぐれてしまっている「くさび状欠損」などが原因の場合、その部分を歯科用のプラスチック(コンポジットレジン)で埋めてコーティングします。
物理的に象GA質を覆うため、高い効果が期待できます。

マウスピース(ナイトガード)の製作
歯ぎしりや食いしばりが原因で知覚過敏が起きている方には、睡眠中に装着するマウスピース(ナイトガード)の製作をお勧めします。
歯にかかる過剰な力を分散させ、歯や顎を守ることができます。 保険適用で製作が可能です。

レーザー治療
特定のレーザーを歯に照射することで、象牙細管を封鎖し、痛みを緩和する治療法です。
薬剤の塗布で効果が見られなかった場合などに行われることがあります。

神経を抜く治療(抜髄)
あらゆる治療法を試しても症状が全く改善せず、痛みが非常に強く日常生活に大きな支障が出ている場合には、最終手段として歯の神経を取る治療(抜髄)を選択することもあります。

 

まとめ

歯が「キーン」としみる知覚過敏は、非常にありふれた症状ですが、その裏には様々な原因が隠されています。


「しみる」原因は知覚過敏だけでなく、虫歯や歯周病の可能性もある。

知覚過敏は、象牙質が露出し、その中にある管を通じて刺激が神経に伝わることで起こる。

原因の多くは、強すぎる歯磨きや歯ぎしり、酸の多い食生活といった日常の習慣にある。

正しいセルフケアを継続することで、症状が緩和される可能性がある。

痛みが続く場合は我慢せず、歯科医院で専門的な治療を受けることが大切。

歯がしみるのは、あなたの歯が送っている「助けてほしい」という重要なSOSサインです。
そのサインを無視せず、ご自身の歯と向き合う良い機会と捉えてみてください。
当院では、患者様一人ひとりのお口の状態を丁寧に診査し、しみる症状の根本的な原因を突き止め、最適な治療法とセルフケア方法をご提案いたします。
どんな些細なことでも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。

 



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