剥離性歯肉炎は市販薬で治療できる?原因や治療法を解説
2025/09/20

こんにちは、武蔵小杉駅徒歩3分の歯医者、武蔵小杉ネゴ歯科矯正歯科です。
「歯肉炎」と聞くと、多くの方が歯ぐきが赤く腫れる歯周病の代表的な症状を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、歯肉炎の中には「剥離性歯肉炎」と呼ばれる、少し特殊な歯肉炎もあります。
剝離性歯肉炎になると、歯肉の上皮が剥がれ、強い痛みや不快感を伴うことで、日常生活に支障をきたすこともあります。
今回は、剥離性歯肉炎の病態や原因、治療法について解説します。
剥離性歯肉炎とは

剥離性歯肉炎は、慢性剥離性歯肉炎とも呼ばれる病気です。
軽くこすっただけで歯肉の上皮が剥離するという特徴を持っています。
尋常性天疱瘡をはじめとした皮膚疾患の一症状として出現する場合もあり、皮膚と口腔内の両方に症状が現れることがあります。
剥離性歯肉炎の原因

剥離性歯肉炎は未だに解明されていない部分が多くあるものの、その原因にはいくつかの要素が関与していると考えられています。
例えば、前述のように尋常性天疱瘡などの皮膚疾患の症状として口腔内に発症することがあります。
また、閉経前後の女性の発症例が多いため、ホルモンバランスの変化が影響している可能性もありますが、高齢の男性でも発症例があるため、その関連性については不明な部分も少なくありません。
そのほか細菌やアレルギーによって誘発されるという説もあり、歯科治療の過程で使用される金属やレジンなどの材料によるアレルギー反応が剥離性歯肉炎を引き起こすとも考えられています。
また、精神的なストレスが影響するという説もあります。
剥離性歯肉炎の症状
剥離性歯肉炎の症状は、歯肉の上皮の剥がれ、露出した結合組織による痛みや灼熱感が代表的です。
時間が経過するに従って、鮮紅色のびらんや潰瘍が形成されることもあります。また、症状の出方には個人差があり、痛みがないまま進行することもあります。
こういった症状は長期間にわたって出ることも多く、その場合緩解期と増悪期を繰り返しながら進行します。
多くの場合、症状は歯肉のみに出ますが、口腔外に広がることもあります。
剥離性歯肉炎の治療法

剥離性歯肉炎の治療は、まず詳細に検査をすることから始まります。
検査では、浮腫性紅斑と剥離びらん、痛みや上皮の剥離といった症状があるかどうか、潰瘍の形成や炎症の慢性化を示す所見が組織切片の病理組織検査で見られるかどうかなどを確認します。
治療の基本は、口腔内を清潔に保つことです。
これは、歯磨きやデンタルフロスといった日々のケアと、歯科医院でのクリーニングを通じて行われます。
また、炎症に対する対処法として、痛みが強い場合には抗生物質やステロイドを使用することもあります。
一方で、根本的な治療法は確立されておらず、症例によってアプローチが異なる場合も少なくありません。
さらなる診断が必要な場合や、特定の基礎疾患が疑われる場合には、それに対応した専門的な治療が必要となります。
また、食事やストレス管理といった生活習慣の改善も必要に応じて行われます。
剥離性歯肉炎に市販薬は効くのか
鎮痛剤や口腔ケア製品で、剝離性歯肉炎の症状の一時的な緩和ができることもありますが、これはあくまで応急処置に過ぎません。
根本的な病態を改善することは難しく、特に剥離性歯肉炎が自己免疫疾患やアレルギー反応の症状の一部として現れている場合は市販薬だけでは十分な結果を得られないと考えておきましょう。
また、このように原因が明確ではなく、ほかの病気の一症状である可能性もあるため、自己判断で市販薬を多用するのは避けたほうが無難です。
症状が重篤化する前に歯科医師あるいは医師の診察を受けるようにしてください。
そのほかの歯肉炎
単純性歯肉炎
単純性歯肉炎は、歯垢や歯石によって引き起こされる一般的な歯肉炎です。
歯周病菌が増殖することで歯肉が炎症を起こし、赤く腫れたり、歯磨きの際に出血を伴ったりします。
このタイプの歯肉炎は日ごろからのケアが予防のために大切であり、発症した場合でも日々の歯磨きや定期的な歯科検診によって改善が見込めます。
初期段階では痛みや自覚症状があまりなく見逃してしまうことが少なくないため、早期発見と治療が重要です。
慢性歯周炎
慢性歯周炎は、単純性歯肉炎が進行した状態です。歯ぐきだけでなく、歯を支える骨(歯槽骨)にも影響が及びます。
歯ぐきの腫れや痛み、出血、口臭などの症状が現れ、さらに症状が進行すると歯がぐらつき、最終的には抜け落ちるリスクがあります。
慢性歯周炎は、歯石除去をはじめとした歯周病の基本治療とともに、歯周外科治療も必要になることが多い症状です。
妊娠性歯肉炎
妊娠性歯肉炎は、妊娠中のホルモンバランスの変化によって引き起こされる歯肉炎です。
つわりによる食生活の乱れや不十分な歯磨きも、炎症を助長する要因となります。
この歯肉炎は母体だけでなく胎児に影響する可能性があるため、日々のケアとともに歯科医院でのクリーニングやブラッシング指導を受けることが大切です。
放置すると早産や低体重児出産のリスクが増すといわれています。
フェニトイン増殖性歯肉炎
フェニトイン増殖性歯肉炎は、てんかん治療薬であるフェニトインの副作用として現れることがある歯肉炎です。
薬による線維増殖がプラーク由来の歯肉炎と相まって発症します。
ただし、必ずしもすべてのフェニトイン服用者に発症するわけではありません。
プラークコントロールを徹底することで、炎症と増殖の抑制が可能です。
急性壊死性潰瘍性歯肉炎
急性壊死性潰瘍性歯肉炎は、急激に歯ぐきが壊死し、痛みやただれが発生する歯肉炎です。
タバコをよく吸う方やストレスが多い方、免疫力が低下している方、睡眠不足や栄養不足の方は、予想以上の速さで発症します。
症状が出た場合には早期に歯科医院を受診するようにしましょう。
まとめ
剥離性歯肉炎はいまだに原因がはっきりとしておらず、市販薬では根本的な治療が難しい病気です。
市販薬が一時的な症状緩和につながることもありますが、根本的な改善を目指すためには歯科医師による診察を受けるようにしましょう。
異常を感じたら早急な対処を心がけることが、健康的な口腔環境を守るためには大切です。
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