歯周病治療

歯周病は、気づかないうちに進行してしまう「沈黙の病気」とも呼ばれています。
初期の段階ではほとんど自覚症状がないため、知らないうちに歯ぐきの炎症が進み、やがて大切な歯を支える骨が溶けてしまうことも少なくありません。
しかし、適切な診断と治療、そして継続的な予防管理を行うことで、歯周病は進行を抑えることが可能です。
当院では、患者さま一人ひとりの生活スタイルやリスクに寄り添い、丁寧で確かな歯周病治療をご提供しています。
短期集中型・歯周基本治療で効率よく、効果的に

一般的な保険診療では、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)を上下左右の4~6ブロックに分け、何度かに分けて行う必要があります。
これは保険制度上の制限によるもので、治療が長引き、症状の悪化やモチベーションの低下を招く場合もあります。
そこで当院では、自費診療での短期集中型歯周基本治療も導入しています。
自費SRPのメリット
1日で全顎の歯肉縁下の歯石を除去できるため、通院回数を大幅に減らせる
歯周病菌の再感染リスクが低くなる
治療精度が高く、より効果的な治療が可能
1ヵ月後に再評価を行い、改善度をしっかりチェック
治療の際には、専任の歯科衛生士が丁寧に対応。
TBI(ブラッシング指導)が不足していると感じた場合は、別途日を設けてしっかりサポートいたします。
担当衛生士制で、信頼と安心を

担当衛生士制とは、一人の歯科衛生士が、同じ患者さまを継続して担当する仕組みのこと。
毎回同じ衛生士が診ることで、口腔内のちょっとした変化にも気づきやすくなり、より細やかで的確なケアが可能になります。
また、「初めての場所は緊張する」「毎回担当が変わると、いちいち説明するのが大変」という方にも、心から安心して通っていただけます。
お口の状態はもちろん、患者さまの性格や生活スタイル、お悩みまでしっかり把握している「あなた専属のサポーター」が、毎回しっかり寄り添います。
担当衛生士は、ブラッシング指導や生活習慣のアドバイスも、患者さまの習慣に寄り添って無理のない提案を心がけています。
「できていないことを指摘する」のではなく、「一緒にできることを探す」姿勢が、当院のスタイルです。
特に予防は、通い続けてこそ価値があるからこそ、「安心して相談できる人がいる」歯科治療を提供したいと考えております。
リスク評価にもとづくオーダーメイドのメンテナンス
歯周病は「一人ひとり異なる病気」です。
生活習慣や歯並び、全身疾患、遺伝的要因など、様々なリスク因子が絡み合って進行します。
当院では、PRA(Periodontal Risk Assessment)やIDRA(Implant Disease Risk Assessment)といったリスク評価モデルを活用し、患者さまそれぞれに合ったメンテナンスプランを立案します。
メンテナンス間隔の最適化(3ヵ月ごと、6ヵ月ごと など)
生活指導や食習慣の改善アドバイス
補助清掃具の選び方なども個別にご提案
さらに、評価モデルはグラフ化されるため、状態が良くなっていくと数値や面積が減っていくのが見た目でもわかります。
「ちゃんと良くなっている!」と実感しやすく、モチベーションにもつながります。
予防歯科は「通い続けること」がカギ。
だからこそ、患者さま自身が納得できるペースと内容で無理なく継続できることを、私たちは大切にしています。
当院で行う歯周治療メニュー
ブラッシング指導(TBI:Tooth Brushing Instruction)

歯周病の治療や予防において最も基本であり、同時にとても大切なのが「正しい歯の磨き方」です。
当院では、国家資格を持つ歯科衛生士が患者さま一人ひとりのお口の状態に合わせて、丁寧にブラッシング指導を行っています。
歯並びや歯の形、歯ぐきの状態は人それぞれ。力の入れすぎや間違った角度で磨いてしまうと、歯ぐきを傷つけたり、逆に汚れが落ちずに炎症が進んでしまうこともあります。
当院では、染め出し液を使って磨き残しを一緒に確認したり、実際に患者さまの歯ブラシを使って、正しい当て方や動かし方を体験していただきながら指導を行っています。
また、お子さまや高齢の方、矯正治療中の方など、それぞれのライフステージに合った磨き方や道具(歯間ブラシ、フロスなど)についてもアドバイスいたします。
ご自身で「どこが磨けていないか」を知ることが、歯周病の進行を防ぎ、健康な歯ぐきを保つ第一歩です。
スケーリング&ルートプレーニング(SRP)

歯周病の主な原因は「歯石」や「バイオフィルム」と呼ばれる細菌のかたまりです。
これらは歯ブラシだけでは落とすことができず、専門的な器具でのクリーニングが必要になります。
そこで行うのが、「スケーリング」と「ルートプレーニング(SRP)」です。
スケーリングでは、歯の表面や歯ぐきの浅い部分に付着した歯石を、専用の器具で取り除きます。
ルートプレーニングでは、さらに歯ぐきの奥深くにある歯の根の部分(歯根)についた汚れや感染物質を、滑らかに清掃・除去していきます。
当院では、国家資格を持つ歯科衛生士が拡大鏡を使用し、細部まで丁寧に処置を行います。
また、自費診療では1回の来院でお口全体のSRPを完了する「短期集中型治療」も可能ですので、通院回数を抑えたい方にもおすすめです。
治療後は歯ぐきの炎症が徐々におさまり、歯のグラつきが改善されたり、出血が止まるなどの変化が見られます。
歯周病治療の土台ともいえる、大切な処置です。
歯周外科治療(フラップ手術)

中等度から重度の歯周病では、通常のクリーニングだけでは届かない深い歯周ポケット(歯と歯ぐきの隙間)が存在します。
こうした場合には、外科的に歯ぐきを開いて感染部分をしっかりと取り除く「フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)」が必要になることがあります。
この手術では、歯ぐきを切開して歯の根を直接目で見ながら徹底的にクリーニングし、感染した歯槽骨の処置も同時に行います。
その後、再度歯ぐきを丁寧に縫合し、治癒を待ちます。
手術と聞くと怖い印象があるかもしれませんが、麻酔をしっかり効かせて行いますので、痛みは最小限です。
当院ではマイクロスコープや拡大鏡を活用し、より繊細かつ精密な処置が可能です。歯を抜かずに守るための選択肢の一つとして、患者さまのお口の状態を見極めながら、慎重にご提案しています。
再生療法(エムドゲイン・リグロス)

進行した歯周病では、歯を支える骨(歯槽骨)が失われてしまうことがあります。
そんなときに選択肢となるのが「歯周組織再生療法」です。
当院では、「エムドゲイン®」や「リグロス®」といった再生材料を用いた先進的な治療に対応しています。
エムドゲインは、子どもの歯が自然に生える際に関与するタンパク質を利用して、失われた骨や歯周組織の再生を促します。
リグロスは、厚生労働省の認可を受けた国内製薬会社が開発した再生医療薬で、組織の再構築を促進する効果があります。
これらの治療は、フラップ手術と同様に歯ぐきを開き、再生剤を適切な部位に塗布することで行います。
失われた歯周組織が再び作られることで、歯の動揺が改善されたり、抜歯のリスクを回避できる可能性が高まります。
根面被覆(歯ぐきの下がりの改善)

加齢や強すぎるブラッシング、歯周病などが原因で歯ぐきが下がると、「歯が長く見える」「冷たいものでしみる」「見た目が気になる」などの悩みが出てきます。
そんなときに行うのが「根面被覆(こんめんひふく)」という治療です。
この治療では、歯ぐきが下がって露出してしまった歯根部分を、周囲の健康な歯ぐきを移動・移植することで覆い、見た目や知覚過敏の症状を改善します。
外科的な処置にはなりますが、歯ぐきの自然なラインを回復させることが可能です。
当院では、患者さまの希望や口腔内の状態に応じて、マイクロスコープを活用した精密な手術を行っています。
また、術後の腫れや痛みを軽減するためのケアにも力を入れています。見た目と機能の両方を整える審美的な歯周外科治療の一つです。
ガミースマイルの治療

笑ったときに歯ぐきが大きく見える「ガミースマイル」に悩まれている方へ。
当院では、ガミースマイルの原因を精査し、最適な治療をご提案いたします。
ガミースマイルの主な原因には、上唇の筋肉の動き、歯ぐきの位置、歯の形や位置、骨格的な問題などがあり、それぞれに応じた治療方法が異なります。
軽度の場合は、ボツリヌス注射(ボトックス)によって上唇の動きを抑える方法があります。
また、歯ぐきの過剰な露出が原因であれば、歯周外科的に歯ぐきを整える「歯冠長延長術(クラウンレングスニング)」を行うこともあります。
審美的な印象に大きく関わる部分だからこそ、丁寧な診断と計画が欠かせません。
当院では、マイクロスコープや拡大鏡を使用し、自然で美しい笑顔になるよう、細部までこだわった治療を行っております。